うどん屋にて』

 

昨日、中之島であった抗議集会とデモに行く途中、入ったうどん屋でたまたま中継を流してたので、新天皇が即位にあたっての所信表明みたいなのをする場面を見た。

各局が昼間は特別番組を組むのかと思ってたが、NHK以外は通常営業のワイドショーで、芸能ネタなど他の話題を流してる合間に、適宜「式典」の生映像を入れるというスタイルだったようだ。それだけ、天皇制(=軍事化)が、日常に深く浸透したということだろう。

店員も、お客たちも、中継には関心を示していない、もしくはそんな風を装っていたが、それでも画面をチラチラ見てる人も居て、その一人が僕だった。

すだれみたいなのが開いて、天皇が出現するシーンは、昔の手品みたいで滑稽だったが、外国の人には分かりやすい演出(「東洋」のイメージ)だっただろう。

天皇の言ってることは、あまりにも型どおりなので、逆にびっくりしたが、よく考えれば、「先代」も即位当初はあんなものだったと思う。官僚の作文、もしくは吹きこまれた内容を、あたかも自分で考えたもののように演じきること、そのように自分でも思いこむこと(それが、リベラリズムというものの内実だが)には、「芸」の熟練が必要で、「先代」がその域に達したのは、退位間近になってからだったと思う(彼の越えられない理想である先々代に少しは近づけたか?)。

もちろん、熟練した芸人とは、観客の「願望」を、無意識のうちに感じとって演じて見せる者のことを言うのである。

 

温かいうどんの味はまずまずだったが、「冷やしぶっかけ」にすれば良かったと、店を出るとき思った。