「レインボーブリッヂ」の件

このニュースにはいささか驚いた。
http://www.asahi.com/national/update/0309/TKY200703090358.html

なにに驚いたかというと、この「レインボーブリッヂ」という「北朝鮮人道支援」をやってきたというNGO団体の活動の規模である。


ずいぶん広範囲にいろんな活動をやってきたらしい。
またここのホームページを見ると、朝鮮の大物政治家とも会談したとある。いくら支援をやってるからといって、また現状では(朝鮮側にとって)他にパイプがないからといって、日本の一民間団体の代表がこのクラスの人とそんなに簡単に会えるものではないはずだ。これも驚きである。
ネット上では、関わりの深い政治家や団体の名前も既に取りざたされているが、http://blog.livedoor.jp/hidenori753/archives/50019171.html
http://www.ibarakiken.info/030806renbou.htm

日本の政府関係者でさえ、なぜこれほど深く朝鮮の政府とコミットできたのか分からない、と言ってるほどだそうである。
そうだろうな。


それにしても、奇妙に感じたのは、逮捕される直前にこの容疑者が、「我々NGOは半分詐欺みたいなことをして金を取っているから」とか、訪朝の目的について「お金もうけで利権だ。それ以外にない」などと、自分ばかりかこうした支援活動に携わってる人たちに不利になるような発言をマスコミに向ってわざわざしてるということだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070310-00000025-mai-soci

この団体は、以前にも脱税容疑で捜査を受けたことがあるようだし、利権目的というのはそうかもしれないと思うが、どうにもこの発言のタイミングがよすぎるように思う。
また、この容疑者と毎日新聞とのつながりはキム・へギョンさんの会見のときにできたらしいが、毎日がこのタイミングで取材したというのも偶然なんだろうか。
こういう「渦中の人」みたいなのが逮捕されるとき、たまに直前にマスコミが取材している場合があるが、あれは警察から何かの情報が流れてるのかな?


ともかく、分からないことばかりだ。
今回の捜査は、元来が人道支援のこととは直接関係ないことをめぐるものであるし、今後捜査がどういう方向に進展していくのかは分からないが、朝鮮に対する人道支援全体が、当面ますますやりにくい状況になるのではないかと危惧する。


北朝鮮に対する人道支援というのは、ぼくも数年前にある団体に関わっていたことがあるし、日本や韓国でそういう活動をしている団体や集まりもいくつか知っているが、とくに日本の場合、いずれも小規模なもので、財政的にも(そういう形がいいかどうかは分からないが)「手弁当」みたいな感じのところばかりだった。「金儲け」みたいな感覚は、よくもわるくもまったくない人たちばかりでやっていた。
「人道」ということは、政治的な考えのようなことを言い出すと、活動としてまとまってやっていけないというようなこともあり、そういうことを越えた立場で困窮してる人たちを救おうということでうたわれている場合が多いのである。
この人道支援という方法自体についても、いわゆる「左派」のなかでも賛否の議論があるのだが、熱心にやっている人は、飢餓などの惨状が伝えられるなかで「ともかく何もしないわけにいかない」という想いから、粘り強く活動を続けてきた。もちろん日本のなかで風当たりが強いだけでなく、朝鮮側との交渉も簡単なものではないらしい。
障害になることだらけで、経済的な利益になることなど考えられない活動だと、ぼくは思っていた。
ところが、どうもこの団体はそういうものとはまったく違う。テレビや新聞をあまり見ないので、こういう団体が活動してることをよく知らなかった。
「こんな団体もあるのか」というのが、一番正直な感想である。
考えれば、こんなのは氷山の一角で、どろどろとしたことは他にも一杯あるのだろうが、利権目的でなく人道支援を一所懸命にやってる人たちの想いが報われることになってほしい、ということしか言えない。