どうでしたか、初めての人生は?

人生が一回しかない、という言い方は、厳密に考えればへんな表現なのかもしれないが、実感としてはそうとしか言いようがない。
70歳になっても80歳になっても、また生まれたばかりの赤ん坊であっても、その人にとっては、それは「初めての人生」だ。
二度生まれる人はいないし、50歳になるのが二度目である人も、100歳になるのが二度目である人もいない。そしてもちろん、死も、誰にとっても初めて経験することである。


そこで、他人が死んでいくとき、投げかけるべき最後の言葉は、「どうでしたか、初めての人生は」というものになるのではないだろうか。
まともに考えてしまうと、この言葉は、ぼくにはあまりにも重い。
でも、他人にこの言葉を投げかけることが、自分がこの人生を生きていることの意味なのかもしれない。


人生が一回限りしかないということ、そして、その一回限りの生を誰でもが与えられているということの意味はなんだろう。