京都で起きた怖い出来事

自転車の撤去作業に抗議したら、公務執行妨害だとされて逮捕、そして起訴。
こんな、理不尽で空恐ろしい出来事が京都で起きていた。

http://d.hatena.ne.jp/kaesepicnic/


自転車に乗っている人なら誰でも、町では有料の駐輪場を探して預けなければ自転車を撤去されてしまう不便さを感じているだろう。
貧困が拡がっている今日では、自転車が無ければ生活に重大な支障を来たす人(仕事に行けなくなるなど)も少なくないのに、そうした個々の人間の事情というものは一切考慮されず、それらは機械的に持ち去られてしまう。
人間の側の事情に合わせて町が作られておらず、人間を規制することを目的としたルールが日常を支配しているのだ。貧困や、自由を求めたいという理由から、そのルールに従えない者、従わない人間は、自転車と同じように社会の中に居場所を認められず、ついには法律の強引な適用によって排除(撤去)されていく。
この青年は、はじめに職員に「駐輪場はそこにあるやろが」と「いきなり怒鳴られた」とき、その言葉の中に、(生活再建のためにカンパが必要なほど)貧しい生活をしている自分や周りの人たち、そして見知らぬ多くの人たちの生存に対する、侮蔑や無視や攻撃さえ感じたのだと思う。
http://d.hatena.ne.jp/kaesepicnic/20120826/p1


この社会では、ルールの合理性は重視されておらず(それが重視されてるなら、人間の事情から考え始められてるはずだ)、上からのルールの強制ということ、それによる統制の内面化ということに重点が置かれているのだ。
暴力(公務の妨害!)の有無ということ以前に、そもそも理不尽なルールやその暴力的執行に対して抗議すること、さらには疑問を持つこと自体が、反社会的なこと、「違法」なことであるかのように見なされていく。
管理と排除にあえて抗議する者は、法律を不当に適用されて牢屋にぶちこまれ、最終的には生きていけなくなるか、まったく従順な存在になってしまうか、という道に追いやられるのだ。
それは、貧困や、自由を求める気持ちから、このルールに服属して生きられない人たちにとっては、排除されて死に至ることを黙って受け入れよと強いる社会であり、体制だということである。


この青年は、自分や他人の生存が、押し付けられ内面化されたルールや仕組みによって統制されたり排除されていく、そういう非人間的な社会のあり方に対して、あえて抗おうとした。
その代償として、逮捕という不当な罰を受けたのだ。


鵜飼哲氏は、ジャン・ジュネ著『公然たる敵』(月曜社)の訳者あとがきのなかで、ジュネに強い影響を与えた黒人運動家ヒューイ・ニュートンの思想に触れて、次のように書いている。

この圧力に屈し酒や薬に溺れて死んでいくことと圧力を撥ね除けるために立ち上がり敵の弾圧を受けて死ぬこと、「箒で掃き出される」存在であることと「棍棒で叩き出される」存在であることは同じではない。黒人がその名に相応しい生への欲求に突き動かされるとき、人間的尊厳を欠いた生活は不可能になる。


「箒で掃き出される」存在であることと「棍棒で叩き出される」存在であることは同じではない。
しかも、この青年が後者の存在であることをあえて選んだのは、ひとり自分の生の尊厳のためばかりではなく、多くの他人たちと共に生きうる社会を実現するためでもあるはずなのだ。
さて、僕たち自身の選択は?


(以下転載)

ピクニック打ちこわし事件 第二回公判傍聴の呼びかけ



2012年8月26日の昼下がり、京都市左京区の京阪出町柳駅前、京都市による自転車撤去に対し、抗議したA氏*1が公務執行妨害で逮捕された。

現在は起訴され、まだ拘置所の中に勾留されたままである。(2012年10月14日現在)

事の詳細は以下の記事もご覧ください。



事実経過と「ダチかえせ」救援会の見解(2012年10月14日現在)



ピクニック打ちこわし事件 第一回公判(2012年10月10日)報告


●次回 第二回公判● 
日時11月1日(木)15:00から16時まで
京都地方裁判所205
逮捕当日、撤去作業をしていた京都市職員への証人尋問があります。ぜひ来てください。

裁判後、軽く交流会をしようと思ってます。場所などは当日きめると思います。

●カンパをお願いします●
Aは8月26日逮捕されてから、勾留され続けています。当然、仕事は休むしかありません。住居の家賃は建て替えてくれる人がいるので、住処を失うことは避けられていますが、長期間の勾留は生活の土台を根こそぎ腐らせていきます。

今後、保釈されても手元にお金はなく、また、収入が入るのは仕事を再開して最初の給料が入るまで待たなければなりません。

弁護士費用などは国選などを利用できたこともあり、これまではカンパのお願いはしてこなかったのですが、監禁状態から解放された後の生活を立て直していく費用としてカンパを募っていくことにしました。

ご協力、よろしくお願いします。

カンパ振込先口座

ゆうちょ銀行

口座番号 10220-81859761

口座名義人 スエオカ トモユキ