『コーラ』12号

Web評論誌『コーラ』12号が発行されましたので、こちらでも紹介します。
今回で11回目をむかえる「シリーズ<倫理の現在形>」は、特別篇ということで、ひるますさんの「倫理って何なんだ〜――倫理の共有は可能か?」というタイトルの文章。たいへん面白く読めます。

とにもかくにもカンジンなのは、倫理というのが、とってつけたような正義感や義務感によるものではなく、人間の根源的なリアリティに裏打ちされたものだということなんじゃ。(本文より)


(以下転載)

 ■■■Web評論誌『コーラ』12号のご案内■■■

 ★サイトの表紙はこちらです(すぐクリック!)。
  http://sakura.canvas.ne.jp/spr/lunakb/index.html
 ★Web等での本誌のご紹介も、よろしくお願い申し上げます。

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  ●シリーズ〈倫理の現在形〉第11回●
  倫理って何なんだ〜!
――倫理の共有は可能か?

  ひるます
 http://sakura.canvas.ne.jp/spr/lunakb/rinri-11.html
   心とは何か? を探求するマンガ『オムレット』の中で、心に関する様
  々なテーマについて対話をしてきた二人、古本屋主人の伊丹堂と大学生の
  獏 迦瀬くん。今回は特別篇として「倫理」について語ってもらいましょ
う。(以下、Webに続く)

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  ●新連載:「鈴木薫の研究手帳」第1回●
  “中つ国の歴史”を読みながら
  ――重ね書きされた『シルマリリオン』              
 
  鈴木 薫
  http://sakura.canvas.ne.jp/spr/lunakb/suzuki-1.html
   先に「“父子愛”と囮としてのヘテロセクシュアル・プロット――トー
  ルキン作品の基盤をなすもの」(平野智子との共著)と題して本誌10号に
  書いたけれど、その時はまだ“The History of Middle-Earth”は名を知
  るのみであった。クリストファー・トールキン編纂の――万一この名前を
  ご存じない方は、ぜひ「“父子愛”」にあたって頂きたい――このシリー
  ズは、なにしろ十二冊もある上、やはりクリストファーが『シルマリリオ
  ン』の異稿をまとめた二巻本の『終わらざりし物語』と違い、当節邦訳は
  出そうもない。まずは刊行された『シルマリリオン』に限って――前回は
  ハンフリー・カーペンターによる伝記と“リンク”させたわけだが――何
  が言えるか、二人で検討していたのだが(それだけでも書き切れないほど
  の発見があった)、その後ついに“TheHistory of Middle-Earth”に手を
  出すことになった。(以下、Webに続く)

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  ●連載:哥とクオリア/ペルソナと哥●
  第16章 水平と垂直のはざま
  ──ラカン三体とパース十体(破ノ参)
 
  中原紀生
  http://sakura.canvas.ne.jp/spr/lunakb/uta-16.html
   前章で引いた神田龍身氏と山田哲平氏の議論を、いま一度とりあげて、
  貫之歌における鏡像、そして言語の位置づけはどのようになっているかと
  いう二つの切り口から、あらためて相互に比較してみます。第一の論点
  は、貫之歌に特徴的なモチーフである「水に映るもの」、すなわち鏡像の
  とらえ方や意義をめぐる両氏の見解の違いです。 
   貫之が詠んだ「二つ来ぬ春と思へど影見れば水底にさへ花ぞ散りける」
  について、神田氏は次のように論じていました。いわく、ここでは、パラ
  レル・ワールドのごとくに、二つないものがもう一つあることの驚きが歌
  われている。貫之は、屏風絵に描かれた実像(岸辺に散る桜)と鏡像(水
  面に映じた桜)との間、いいかえると、まこととまことならざるものとの
  間で戯れているのだと。これに対して山田氏は、この歌には現実世界と、
  これに並行して存在するもう一つの自立世界が出現していると論じます。
  そして、貫之は、水面に映る鏡像がたんなる視覚上の写像ではなく、そこ
  から全く別の世界が開いていることを明らかにするため、「水面」に替
え、あえて奥行きを感じさせる「水底」という語をもちいたのだと。
  (以下、Webに続く)

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   ●新連載「新・玩物草紙」●
  「1Q84」の、月は。/時  計

  寺田 操
http://sakura.canvas.ne.jp/spr/lunakb/singanbutusousi-2.html
   奇譚集が好きなので、村上春樹は気になる作家のひとりである。『1Q
  84』(新潮社)は昨年6月19日に阪急梅田の紀伊国屋書店で購入し
  た。宣伝やメディアでの取り上げ方が異常だった。新型インフルエンザ騒
  ぎでマスクが店頭から消えたような現象が起き、どの書店も完売で入荷待
  ちらしい。買いたい、読みたいという飢餓感に追い込むうまい作戦だ。シ
  ンプルだがインパクトのある装幀は、遠目からもあれだとわかる。店内は
  混み合っていたが、店頭の平台の本を手にする人はいない。平台の前でし
  ばらく躊躇したが、ここで買わなければ、たぶん読むことはないと思い、
  「BOOK 1・2」を購入、帰りに平台を見たが、中年のおじさんが立
  ち読みしているだけ。大阪はとても静かだった。(以下、Webに続く)
  (初出は、2010・7・10です。)

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