デッサン力

自分にはデッサン力がない。
そう思う。
自分の文章に関してそう思うのだが、考えてみると、絵を習っていたときも、結局それでやめてしまった。
デッサン(描写)力というのは、他人の目で見たときにどう見えるかを考えて対象を描写し、表現するということだろう。ぼくには、この力が異様なほど欠落しているのだ。
ただパソコンで文章を書く場合、技術的にはこの欠点が補われやすいとは思うが(自分の書いたことがただちに視覚的に対象化されるので)。


デッサン力が乏しいと、何を書いていいかが分からず、結局表現したいことがなくなってしまう。
人が何かを表現したいと意欲するのは、「表現すべき対象」があるからだ。ぼくには対象が在っても、それが表現することと結びつかないので、意欲が生じにくいということだと思う。
つまり、表現してもしなくても一緒、というふうになってしまうのだ。


これは結局、「他人の目」というものを、自分のなかにうまく組み込んでこれなかったということだろうが、ぼくの場合、一事が万事、そういうことが言えるように思う。
難しくいえば、存在から遊離している感じ、とでも言えばいいか。