このところネタにしている永江朗の『<不良>のための文章術』という本は、プロのライターを目指す人たちのために書かれた本です。「プロ」とは、ぼくの言葉でいえば「賃労働の現場にいる人たち」ということです。これは、ぼくのようなブログの書き手とは、書くときの立場としてはまったく違っているといえます(もちろん当人の実生活での職業が何であるかは、まったく関係ありませんよね)。
ちょうど、その本のなかに、「書評」についてのかんがえがのべられているところがあるので、その一節を引用してみます。
著者は書評(本の紹介文)について、『当該の本をきちんと読むのは最低限のルールです』と明言しています(もっともな主張で、ぼくも同感です)が、その理由として次のようなことを書いています。
続きを読むまず、当該の本を読みます。世の中には「読まずに書く」という人もいます。「まえがきあとがきを読んで、あとは面白そうなところをチョイチョイとつまみ食いすれば、千字や二千字ぐらいの紹介文なら書けるぜ」とうそぶく人もたしかにいます。しかし、初心者はそれをやってはいけません。なぜなら、リスクが大きすぎるし、のちのためにもなりません。
リスクというのは、たとえば論争です。ものを書いて発表すると、異論や反論や批判が出てくることがあります。(中略)
「読まずに書く」なんていうことをやっていると、この論争に耐えられません。「永江は誤読している」と指摘されても、肝心の部分を読まずに書いたのであれば、反論のしようもない。でもまさか「ごめんなさい、読まないで書きました」ともいえない。当該の本をきちんと読むのは最低限のルールです。(p116〜117)