2005-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ぶろぐをめぐる独り言

ブログというものは、建前上「日記」ということになっている。またこのブログでは、「ノート」という題がついているように、考えていることや日々の感想をライブ的に公開するということが主眼だった。 本来、日記やノートは、公開を前提にしたものであること…

『<不良>のための文章術』

これまで何度も内容に触れてきた、永江朗の『<不良>のための文章術』をやっと読み終わったので、書評めいたことを書いておく。 くどいようだが、この本はプロのライターを目指す人のための本である。プロとしてやっていける文章を書くための技術が、著者自…

プロの仕事とブログの倫理

このところネタにしている永江朗の『<不良>のための文章術』という本は、プロのライターを目指す人たちのために書かれた本です。「プロ」とは、ぼくの言葉でいえば「賃労働の現場にいる人たち」ということです。これは、ぼくのようなブログの書き手とは、…

TBされた記事に書かれていた番組のこと

きのう、id:OhgyokuさんがTBをくださった記事のなかで語られていたNHKの番組、今日もやってたんですね。 http://d.hatena.ne.jp/Ohgyoku/20050624 今回はやってること自体を知らなくて、最後の方の45分ぐらいを、他のことをしながら見ただけです。 「人口…

本の紹介について

きのうのコメント欄で、なぜ読みおわっていない本の紹介をしたりするのか、という趣旨のご意見をいただきました。もっともな疑問であり、またご批判であろうと思います。 これについてのぼくの見解は、やはりコメント欄に書いたのですが、もう少し詳しく説明…

ブログは商品たりうるか

早速だが訂正しなくてはいけないことがある。 きのう、永江朗の『<不良>のための文章術』について、「ブログの文章を書くのには参考にならない」と暴言をはいたが、大間違いだった。この本は四つの章からなっていて、最後の章でコラムとエッセイの書きかた…

労働と兵役についてのメモ

『働くということ』と『魂の労働』を続けて読んでみると、ハイテク化や経済のグローバル化の進行によって単純労働の低賃金化が一層加速すること、それにより多くの人々の労働への意欲が失われ社会保障制度が危機に瀕することが、先進工業国に共通した社会問…

ブログの文に関する走り書き

先日買った、永江朗の『<不良>のための文章術』。読みかけだけど、今感じてることをひとつ。 これは冒頭に書かれているように、プロのライターを目指す人のための本だ。(もちろん、それ以外の人が読んでも十分面白いが) それで、書かれていることはほんと…

テレビや本のことなど

夜、テレビで渥美二郎が春日八郎の「別れの一本杉」を歌ってるのをちらっと聞いたけど、思い違いでなければ、とんでもなくうまかった気がする。ぼくは、ああいうのを「うまい」と感じるんだよねえ(説明になってない)。 最近ではもう一人、『ミリオンダラー・…

日本の自立と憲法9条

9条以外の憲法の条文を、まだちゃんと読んでいない。ぼくは、こういう目的のはっきりした勉強みたいなことが本当に苦手だ。 ただ、このところ『魂の労働』などの本を読んでネオリベラリズムということについて考えるようになり、今言われている「改憲」論が…

『たった一つの、私のものではない言葉』

たった一つの、私のものではない言葉―他者の単一言語使用作者: ジャックデリダ,Jacques Derrida,守中高明出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2001/05/18メディア: 単行本 クリック: 24回この商品を含むブログ (6件) を見る 要約しよう。私が話している単一言…

『アメン父』

アメン父 (講談社文芸文庫)作者: 田中小実昌出版社/メーカー: 講談社発売日: 2001/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (16件) を見る作家田中小実昌の父、田中遵聖という人は、広島県呉の山の中腹に「アサ会」という教会を立てて…

『オリエンタリズム』序説

『魂の労働』の後に何を読もうかと思ったが、読みかけのままずっと放ってあった本に再挑戦することにした。サイードの『オリエンタリズム』だ。オリエンタリズム 上 (平凡社ライブラリー)作者: エドワード・W.サイード,Edward W. Said,今沢紀子出版社/メーカ…

最近思うこと

友だちで二、三年前に留学などで海外に行った人が何人かおり、近況を聞いたり読んだりすると、有意義な日々を過ごしているようである。 ぼくも、そうした機会がなくはなかったのだが、事情があって結局行かなかった。ここ数年の自分を考えると、具体的なもの…

ミリオンダラー・ベイビー

クリント・イーストウッド監督・主演によるアカデミー賞受賞作『ミリオンダラー・ベイビー』を見た。 素晴らしい作品だった。完成度という点では、イーストウッドのこれまでの作品のなかでも一番かもしれない。とことん地味な話なのに、映画好きとかイースト…

アートと表現と物語

先日も書いた『群像』5月号では、「Art/物語」と題された特集が組まれていた。 このなかで面白いところがあったので、少し紹介と感想を。

読了

いやー、『魂の労働』やっと読み終わったけど、なるほどすごい本だった、これ。 とにかく全部の章が、考え抜かれていて素晴らしい。 全体の理念的な見通しというか、結論的なところでは、ネグリとハートとかの方に引っ張られすぎじゃないかという感じはある…

『魂の労働』・感情労働

渋谷望著『魂の労働』を読みながら考える、その第4回目。魂の労働―ネオリベラリズムの権力論作者: 渋谷望出版社/メーカー: 青土社発売日: 2003/10/01メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 88回この商品を含むブログ (94件) を見る今回も、本の内容の紹介と…

ニューヨーク二題

えー。 グラウンドゼロの跡地に立てられる予定の「世界一高い高層ビル」というのは、リベスキンドの案だったの?http://d.hatena.ne.jp/yugi713/20050609リベスキンドって、有名なベルリンのユダヤ博物館を設計した人だよね。ホロコーストの記憶を残すという…

『闇を喰む』 その1

高史明の自伝的小説『闇を喰む』(角川文庫)。この本も、毎日少しずつ読んでいて、なかなか進まないが、やっとⅠを読み終わってⅡに入り、「血のメーデー事件」のところまで来た。 この部分に関して思うところを少し。 ぼくはずっと勘違いしていて、「血のメー…

村上龍

近所の古本屋で、『群像』の5月号が300円で売りに出てたので買った。 村上龍が、新作『半島を出よ』について、重松清によるロングインタビューを受けていた。 そのなかに、次の言葉があり、いいことを言うなあと思った。 重松さんにしても、多分小説家っ…

竹山広氏の短歌

傷軽きを頼られてこころ慄(ふる)ふのみ松山燃ゆ山里燃る浦上天主堂燃ゆ死の前の水わが手より飲みしこと飲ましめしことひとつかがやく 日曜日の早朝、普段は見ない『こころの時代』というNHKの番組をたまたま見たら、竹山広という歌人の方がインタビューを受…

『魂の労働』 人種の犯罪化・変容の政治学

渋谷望著『魂の労働』の5番目の章は、「反転する公共圏」と題されていて、ここでは70年代以後に英米で起きた福祉国家への批判による公共部門の「私化/民営化」の動きが、いわゆる新人種主義の台頭と連関する形で、社会的弱者に対する「公共圏への封じ込め…

『魂の労働』共同体の話への短い補足

きのう書いたことについて補足しておきたい。 最後の部分で、『魂の労働』の「4 ポストモダンの宿命論」という章の終わりに「オルタナティブな共同体的な生存」ということについて書かれていることを紹介したが、ぼくがその前に「講」のことを書いたり、「…

『魂の労働』・年金制度と社会

渋谷望著『魂の労働』(青土社)を毎晩少しずつ読んでいるのだが、なるほどすごく多くのことを考えさせられる内容だ。それについてどんなふうに書いたものかと考えてるのだが、ちょうど先日書いた年金制度の問題に関して触れている箇所があったので、その部分…

『さざなみ軍記』

私は知っている。六波羅好みとは浮身をやつすことであった。しかし私は私たちの父であり母である六波羅がなつかしい。(井伏鱒二作『さざなみ軍記』) いまプロ野球は交流戦の真っ最中だが、ロッテとソフトバンクが相変わらず強いみたいだ。 ひとつ思うのは、…